こ

1人の青年が作る“1杯のラーメン”に

長蛇の行列

カウンター10席しかない

小さなお店

カウンターの片隅には少年二人の写真


それから20年程前・・・・・・・

少年の名は“梅太郎”(7才)

彼の唯一の楽しみは

月に2〜3回大好きなラーメンを食べに行く事だ

錆だらけの自転車をこぐのは

一歳上の仲良し“福太郎”

“二人の太郎”は学校が終わると

いつも一緒だった

『福ちゃん❗遅いよ〜〜もっと早くこいで・・・・』

がっしりした、いかにもスポーツ万能に見える体型の“福太郎”

後の荷台上に乗る“梅太郎”は身体は小さく

兄弟のいない“梅太郎”は

頼り甲斐がある“福太郎”の事を兄のように慕っていた

家の手伝いで稼いだ小銭を

梅太郎はズボンのポケットに忍ばせ

3k程離れた

町に1軒しかない“ラーメン屋”に小汗をかきながら到着

梅:『福ちゃんチャリありがとう、今日は俺の“おごり”だからね

福:『梅ちゃんもラーメン好っきゃな〜〜

“のれん”をくぐると

いつも通り

ここにしかない“おいしそうな匂い”

二人は目をつむりながら

鼻をクンクン

口を揃えて『あ〜〜〜美味しそうな・・・・』

顔を向かい合い

ここのラーメンは

多分

和風だしであろう“醤油味”で

盛り付けは

あま〜〜い“シナチク”

薄く切られた“ネブカ”

分厚く柔らかいチャーシュー

固茹での玉子が半分に切られ

定番の“ナルト”が乗っていた

時代は“長島茂雄”が引退した年

ラーメン1杯350円

この“うどん”や“そば”にもない

魔法の出汁と

黄色い独特の固くコシのある“麺”が

“梅太郎”にとって

たまらなく魅力的な食べ物だった

梅太郎が愛して止まないラーメン屋“いろは”の親父も

彼の事を“馴染み”として

家や名前は勿論

家庭環境もある程度はしっており

目の大きい愛くるしい“梅太郎”を

家族のように思い

お店に来る時は

“いらしゃいませ”ではなく

“お帰りなさい”と言っており

梅太郎も

ごく自然に“ただいま”っと言っていた

その“小さいお客”は

大盛りでもなく

他にあるメニューで

白いご飯は勿論の事

“カツ丼”や“天津飯”

定番の“餃子”等は一切注文せず

ワンパターンであるが

“ラーメン”1杯だけを頑なに注文

いつの日か

“親父”の方から

梅ちゃん“今日はどう❓”

美味しい❓

っと味のチェックを聞くぐらい

信用をおいていた

極たまにではあるが

味の濃さが変わっていたり

麺がのびていたり

チャシューがパサツイていたり

気付く範囲で

梅太郎は

“おっちゃん❗今日のラーメンは◯◯◯だったよ”と

厳しい感想を言う時があり

その時は

さすがの“親父”も

反省するばかりだった

梅太郎が食べたラーメンは

当然のように毎回一滴もスープが残っておらず

今日この“至福の1杯を”親友の“福太郎”と食べた事は

梅太郎にとって

この上にない“幸せなとき(時間)”だった

次回へ続く・・・・・・